松濤美術館で牛島憲之展。2階の黒い大きな革張りの低いソファにすわって眺めるでもなく長い長い時間。そうして過ごすこの館に似合うすばらしい展。
今年も暑くなるのだろうか。うちの小さなベランダに育つゴーヤの奥にどれくらいたくさんの人を見ることができるかな。
「炎昼」1946
これは、糸瓜ではなくカボチャ、近所の友人の家の庭にあったものです。何もかも死んだような真夏の昼、独り絵筆を動かしていると、気力が満ちて来るような気がしました。私は八月の生まれ、夏が好きなんです。九三歳の今日まで、夏が辛いと思ったことはありません。
そのお陰か、この年の第二回日展でこの絵が特選をいただきました。以後の私のスタイルがこれで確立したと言ってもよいのかもしれません。(同展図録より)