奥成達著「宮沢賢治ジャズに出会う」より
p231)
自分があの「雨ニモマケズ……」の詩人、宮澤賢治について書くようになるとは、これまで想像もできなかった。
ところが「<ジャズ>夏のはなしです」、そして「岩手軽便鉄道 七月(ジャズ)」の二篇の詩に出会ってからその事情は一変した。
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あらためて宮澤賢治という詩人、童話作家にますます親近感を深めている自分に気がついた。それは宮澤賢治の作品に通底している「音楽」の深い魅力に気づいてからに他ならない。
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本書は、宮澤賢治の詩から始まって行く「ジャズの日本史」として計画され、書かれたものであって、けっしてストレートな『宮澤賢治論」でも「ジャズ論」でもないが、その二つを結ぶ世界が、そのジャンルの違いを超えて、思いがけないほど共通していることが多いのに驚かれたのではないだろうか。
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