「フライの雑誌」110号
特集はベストなベスト。なるほどねぇ身軽でなくちゃだめなんだ。軽くするためにいらないものはすべて外すひと、クリームソーダのワッペンを貼っていたひと……。衣装というより道具というよりもはや肌を覆うもう一枚の皮膚みたいなものになってゆくのかしら。手前のポケットに電話、内側の奥のポケットに鍵、その上のポケットに免許証……のように鞄のポケットを使い分け過ぎて結局物を探すのに手間取る人がいる(=母)けれど、釣り用のベストにも言えることなのだろうか。キャベツを畑で収穫しているようなこの写真(p59)が好きです。
「川向こう(七)」を書かせてもらった。”彼方上流に愛着を感じる癖”きどりで向かった沼田の河岸段丘でのこと。こう、昔にまぜてもらったような、いや今どきです、という往来です。数日前、堀内正徳さんと萩原魚雷さんが練馬のホンモロコ釣り堀に行ったあとに合流して遊び自慢をたっぷり聞いた。お店を出たら雨だった。気持ちのいい夜だった。110号に魚雷さんは10月29日に亡くなった伊藤桂一さんのこと。