品川駅のエスカレーターを注意深くのぼって、
キャノンギャラリーS、十文字美信の「本貌とふたたび翳」展へ。テーマはふたつ。前者はもうすぐ刊行される「松岡正剛の千夜千冊」全集の巻頭用に撮ったものとのことで中央にこじんまりと展示。濃密。展のメインは後者、図録もこちらのみ収録。瞬間が待たれた感じはなく、ふだんよく目にとまるフレームが、紫外線遮断ガラスをはさんで目前にせまってくるようで深く心地よい。こちらはおよそわたしがわずか思い描ける十文字さんの写真とは程遠いが、注視するポイントがことごとく近いながらその深度がこうも違うのかと思い知ります。シャッターを切ってしまうその瞬間の近似の悦びですか。