泉屋博古館分館へ清水三年坂美術館コレクション中心の
「明治の七宝」展。七宝というと濃紺背景、若いころから今に至るまでいつでもトシヨリクサイと思ってきました。
さて七宝はガラスの粉を焼き付けて文様を描く工芸技法で、日本には7世紀ころに伝わりまして、桃山から江戸時代に家具のパーツや刀の装飾に使われてきましたが、今回の展示は「明治の七宝」。海外の七宝作品に触れることで、金属で成形した土台に細い細い金属線で輪郭を描いてそこに釉薬をさして焼く「有線七宝」を確立させた作家、さらにその金属線を抜いて新たな表現を得た
濤川 惣助が並びます。
写真は濤川惣助による蛍。七宝の方法でなにができるかをことごとくやったようです。金魚もあるよ。
展示は、作品にところどころ付されたデザイン画とその過程図が(なにより)いい。七宝という方法でどう再現しよう、どうよりよくしようという惑いの奇跡がちょっと、見えます。巨大な壷、菊の紋章——ガイジン向けに、どれほどがんばったことでしょう。七宝のことを知らない私には館内で流されるビデオを見ることも大事だったのですが、この館はことごとく音が反響しましてだめ。建物のつくりがよくないんでしょう。ちょっとしたヒトの会話もワウワウ。あれはひどいわ。