NEWORDでの後藤護さんの連載「綺想とエロスの漫画史」 、上村一夫論でいくつかの作品の原作者であった岡崎英生さんへの言及も多々。
後藤さんのXより
🦇#綺想とエロスの漫画史 第12回🦇上村一夫の異常性愛路線『悪の華』について書きました!乱歩の「パノラマ島奇譚」マンガ化を経て辿り着いた「きれいな猟奇」(滝本誠)の世界。原作者・岡崎英生の澁澤龍彥趣味が炸裂した猟奇とフェティシズムの百科全書。後篇は「上村一夫の涙の構造・余白の美学」という感じで、元々イラストレーターだった上村の優れたデザイン感覚を読み解いてみようと思ってます。(後略)
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後藤 護「綺想とエロスの漫画史」11 上村一夫論【前篇】 上村劇画の暗黒領域を掘り下げる——『同棲時代』『怨獄紅』『花言葉』を中心に 2026.4.14
『花言葉』で岡崎さんが解説した薊の花言葉については……
こういった気どった言い回しには、澁澤龍彥責任編集『血と薔薇』にも通じる高踏派デカダンの影響を嗅ぎ取ることができるだろう。早稲田大学の仏文科を出ていた岡崎であるから、澁澤訳のバタイユやサドにも親しんでいたであろうことは明らかで、次回論じる『惡の華』はまさにその精華と言える。さておき、「哀しいことに薊は花のなかの醜女である」というアンチ・ポリコレな一文は見逃せない。美しくあるべき花から、あえて醜さを抉り出していく瀆聖がまず行われる。
さらに……
上村&岡崎コンビの『花言葉』連作は、外側をつつみこむ花弁を剥ぎ取るとあらわになる、おしべ(男)とめしべ(女)の呪われた不義密通や近親相姦——リンネが植物の雌雄に見た幸せな夫婦像の対極としての——を敢えて暴露していく「フローラルな悪意」(高山宏)なのである。これは花の外面的な美しさを冒瀆し、むしろ中に隠された醜悪なエロスを直視せよと扇動したジョルジュ・バタイユの名エッセー「花言葉」の以下の罰当たりな言葉と絶妙に響き合ってはいないか。(後略)

もうひとつ、「彼岸花」についてかかれた箇所については……
薊の花の醜さを言いつのり、花びらに隠されたおしべ・めしべのグロテスクな性の饗宴を暴露した岡崎は、ここでいよいよ地上から地下へと潜行し、「球根」という地中深くの「毒」に目を向ける。これこそがバタイユ「花言葉」のいう「不潔でねばつく根」への気づきである。

画像は手元にある『上村一夫珠玉作品集2 花言葉』2003 愛育社より
・後藤 護「綺想とエロスの漫画史」12 上村一夫論【中篇】 猟奇とフェティシズムの百科全書——『悪の華』の反自然的衒奇趣味 2026.6.9
『悪の華』について……
『悪の華』にも明らかに澁澤訳マルキ・ド・サドを読んで咀嚼した痕跡が見られる。思えば、上村&岡崎コンビは、すでに『夢師アリス』で、ボルヘスの「アレフ」を引用し、マニエリスム芸術の紋章たる迷宮図を出現させていたほどであり、澁澤的な幻想文学趣味はすでに濃厚であった。
そして……
これは、実は山下洋輔&筒井康隆によって創設された「全日本冷やし中華愛好会」のメンバーだった岡崎英生が、『空飛ぶ冷し中華』(住宅新報社)に寄稿したニセ方程式だらけのエセ論文「初等「冷し中華物理学」」と同じ手法で書いた、科学的方法の厳密さを嗤う悪趣味なパロディーである。
手元の
『空飛ぶ冷し中華』(昭和52年 住宅新報社) を改めて見てみると……
p146)初等冷し中華物理学 岡崎英生(全冷中埼玉委物理学派)
冷し中華の物理波を測定してみよう。100グラムの冷し中華を、毎秒100cmの速さで食べるとすると、この数値をド・ブロイの関係式に代入すると次の数値が得られる。

p151)初等冷し中華物理学2 「鳴門」試論 全冷中埼玉委物理学派 岡崎英生
p227)初等冷し中華物理学3 冷し中華不悪定性原理 全冷中埼玉委物理学派 岡崎英生
・bookbar5/
大谷能生さんが『平岡正明論』のために書き写した奥成達さんの「冷し中華・バビロニア起源説」の図・奥成達資料室/
冷し中華関係・bookbar5/
「gui」創刊号の、岡崎英生「日録① ◯月◯日」を読もう
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