高野辰之さん作詞の「春の小川」にうたわれたという渋谷の河骨川は、昭和三十年代に暗渠となって今は界隈に歌碑などが残る。代々木八幡駅近く、山手通り下の短いトンネルにも春の小川の文字がある。ここが先月末からしばらくの間、山手通り工事のために車が通れなくなっている。S字クランクっていうのでしたっけ、角ごとに警備員さんで合計4人、朝な夕なにおはよう/おかえり/こんばんわ/オツカレさまデス。きのうの朝はここも風が強かった。トンネルはいるとちょうど前に親子がいまして、警備員さんが「おはよう! 僕、風に負けないでよ」。ママと手をつないだ少年は応えずトンネルを抜け、春なら桜舞う青年座前に出てママに聞く。「まけないってなに? かぜにまけないってなに?」