渡辺隆次画伯の作品展が11月12日(木)〜20日(金)新潟絵屋で(写真は
同ウェブサイトより)。渡辺さんの絵も文章もそうですがなによりご自身そのものが"幻影"なる銀の炎を背にした魅力魔力の渦のもと。期間中在廊とのことですので銀の炎を背にしたナマ渡辺画伯の渦をいっぱい浴びて欲しい。気まぐれに見つけたキノコの名前を教えていただくときでさえ、渡辺画伯の声や字はまもなくウツツを離れゆき——
絵屋便 2009 November
渡辺隆次展
渡辺さんとの交流は長く、はじまりは20数年前、巻生まれの画家田畑あきら子の話を伺いに山梨のアトリエを訪ねた時だ。「きのこ」に渡辺さんが深入りしだした頃で、胞子紋を使った作品が描かれていた。このこの内襞から、はらはら落ちる胞子の紋様は、緻密さと突き放すごとき無表情において、渡辺さんの絵の象徴だったと思う。
情的なものを1000分の1ミリグラムも漏らすまいと微細な無機的形象で鎧った作品。その基本構造は、今も変わらないが、封じられた放射能のような情エネルギーが鎧に内からしみ入り、微細だったものを図太く膨らませていく変化を目撃してきた。……近代的自己表現とは一見無縁の中近世の花鳥画の底にひそむ、複雑精妙な感情の「たまり」。…… (大倉宏)