雲助蔵出しぞろぞろ
浅草見番 14:00〜
前座 林家なな子
柳亭市楽「松山鏡」
五街道雲助「初天神」「初霜」「三枚起請」
二人の植木職人を描いた「初霜」は宇野信夫が戯曲作品を十代目馬生のために落語に仕立て直したとのこと。落語にかいたのはこれ一つ限りと。初霜のおりるころ屋敷で作業する二人の庭師。鼻歌まじりに松を剪定する男を心配して見上げるのは脚をいためた親方、四つ目垣を仕立てるどころではない。二人は同じ長屋に育ち同じころに所帯を持って同じ植木職人になり、同じころに嫁を亡くしたがその後にそれぞれがある。ならばこそのイヤミもウソも、ただ普段のことだ。雲助師匠の頭の動きが角度も向きもやがて一点に収束する。顔筋のわずかのピクピクにこっちが波打つ。最後は鼻歌に重ねて見上げて「やりやがったな」。にぶすぎでしょーと思うが今日舞台からこの言葉をもらって帰るのは私たち。夜あればこそ。
これまでの
蔵出しのこと、
キントトレコードから出るというアナウンスに多くのなじみ客から拍手。