文平イエローによる
寄藤文平『死にカタログ』は、世界中の死を図解整理した楽しさ恐ろしさ満載のとてもよいカタログです。なかに、ひとりの一生を幅約2メートル高さ約10センチ、高さ面黄色、歩き面白のマットのようなもので表し、様々な生きものの一生を、長生きするほど長く、短命で激しく生きた人ほど高さを持たせて描いた「死のものがたり」コーナーがあります。
たとえばジャンヌ・ダルクは19歳で没していますからものすごい急な直角三角形、ハチ公は亡くなるまでの9年間ひたすら坐っていたので3ページにもわたって高さなしのまま、などなど。いずれも第三者が振り返ってみた、それぞれの死に向けたボルテージを縦軸に計上しているわけですが、一個だけ、どうしてもその法則では描ききれない人がいたようです。植村直己さん。モンブラン、キリマンジャロ、エベレスト、マッキンリー……、登頂記録が相対的高さで縦軸に。
この、体操マットみたいに描いた文平さんの一生は、本の最後のほうで、あぁやっぱり生きるという体操のマットだったんだということがわかります。「できるだけまっすぐ、死に向かって毎日を折りたたむ」。ぐるぐる巻きにならないで、ぱたんぱたん、おもて、うらとマットをひっくり返しながら進んでいこうと言うのです。いいイメージです。
「エリザベス・キューブラー・ロス
『死ぬ瞬間』の前書き部分を、虫メガネで拡大して絵をつけたといってもいいかもしれません。」(あとがきより)