福島生まれの戦前の農民詩人・猪狩満直(1898-1938)の詩、「開墾地風景(三)」「馬(一)」「馬(二)」「君の宣言に就いて」の4篇を、版画による独自フォントをワードで組み、リソグラフ印刷したという。ひと文字、どれくらいの大きさで作ったんだろう。「霧」も「蹴」も「橇」も「鞭」も「霊」も「鋤」も、力強くうつくしく、ブラボーをおくる。表1表4が2色、本文1色刷の12ページ、中綴じ2箇所ホチキス留め。500円、限定50部。
ずいぶん深いな
ふかい雪の下でいい匂ひがするな
どれ 雪を蹴つぽつてみよう
ほうら
みんなよ
この雪の下には
こんなにいい青笹がかくされてあるんだねいか。
「馬(一)」より
猪狩満直、どんなひとだったんだろう。北海道での開墾生活中も詩作を続け、1929年、第一詩集『移住民』(銅鑼社 跋文・装幀 草野心平)刊行。表紙には「全国の百姓仲間に 舌辛原野にて」の文字。1930年には北海道を離れ、長野の飯山でも過ごし、郷里に戻って療養の末、生涯に3冊の詩集を残し40歳で亡くなっている。草野心平記念文学館では何度か企画展が開かれてきたようだ。