今日はいい天気で朝から近所のひとたちが草花いじりをしています。斜前のお宅の庭はかなりラフ、野菜だか雑草だかなんだかわからないものがいつも繁っている。対して反対側の斜前のお宅はイングリッシュ・ガーデンよろしくやっており、壁から塀から花壇から、いつもなにかしらへばりつくように繁っている。
家の台所の窓からちょうどみえるラフ庭がわたしは好き。今年そこんちの娘が草花に目覚めたらしく、色とりどりの小花とスコップを持って父親のそばにたたずんでいる。それをやっちゃあわたし思うところのラフ庭でなくなるのでやめて欲しくて光線を送るが、春うららかな陽射しのなかで父娘そしていっぱし家族きどりの猫がちまちまやっている庭の姿はきわめてよい風景であった。
やはりラフな庭を作っていた父に向かって、王宮の庭園みたいにしてよと言って、今にして思えばとにかく色とりどりの悪趣味な花々の種をねだっていた子どものころを思い出す。今また父が思い通りに作るようになった庭はさらに豪快になり、夏に帰るといつもぼうぼうに草花が伸びている。その横で父はいくつもの盆栽の鉢にひがな手を入れ、母は自分の好きな花々を玄関まわりで鉢に増やして育てるのだ。
庭のすみに毎年生えるこごみを送ってもらった。季節はとうに春だが、ああ、春が来た、と、わかった。今年は雪が多かった。なにもかもがどんなにか春を待っていたことでしょう。春とは待ち遠しい気配、それが全てであった。
写真は
山形のうまいもの/青こごみより。