
『混合と溶解の中に生きて 1936-2001』
2002.12.26発行
著者 奥成英輔
発行人 奥成雅子
編集 奥成達・奥成繁・山口謙二郎

p13)
三 実社会に出てから…青春時代の終わり
(略)
三井物産では、最初の一年間は会計課で、ソロバンを片手に、帳簿用の数字の書き方、勘定科目の仕訳、決算業務、金利や為替の感覚などを叩き込まれた。(略)
客先に売り込み中の機械の受注を図るため、競争相手との価格、技術評価の比較情報の収集活動も私には「少年探偵団」の世界の楽しさだった。
しかし、入社三年間位まで、私は文学への思いを捨てきれず、自作の長編未来小説を完成させる場として、高校一年生の弟・達(おくなりたつ。現在は青山学院大学で詩学を教えているが、詩人、ジャズ評論家)と共に「新人類学」という同人誌を主宰していた。
昨年(1997年)文化功労者として表彰された詩人の白石かずこさんや、漫画家の赤塚不二夫一家の一人である長谷邦夫さん、今こそ東洋電機の副社長だが、同人誌「塔」の仲間で、私の演出した芝居に二度も主演してくれた詩人の松原元信君など、ユニークなメンバーの集まりで、雑誌だけではなく、独自の行動を起こそうと昭和36年12月19日、日比谷の三井ビル・ホールで「新人類学総会・詩とジャズ、ツイスト・ダンス・パーティー、ビート族に関する講演、パントマイムなどなど」の集会を計画し、私の司会で開催した。
白石さんの黒人の友人たちが大勢参加したので、ツイスト・ダンスの最中に三井ビルのトイレットペーパー・ロールが多数紛失し、テープ代わりにホール内に投げられる騒ぎとなったため、翌日私は責任者として管理人から大目玉を食い、以後出入り禁止となった。
当日の参加者は、石森章太郎、藤富保男、諏訪優、片桐ユズル、テオ・リズワルシュ、L.C.ヴィニョーレス、一柳慧、山本イサコ、鍵谷幸信、沢渡朔、飯田隆昭、井手正隆など各界の前衛たちが多数参加した。この集会は、後に歴史上、日本で初めての「詩の朗読とジャズの演奏(白石さんの弟の慶應のジャズバンドが出演)を一体化したパーティー」として、又、初めて本格的にツイストを紹介した「ツイスト・パーティー」(ロバートとバーバラ・ホッジ夫妻が模範演技、その後自由参加)として、いくつかの文献に報告・紹介・記録されている。
しかし、私は、このパーティーをもって文芸のプロへの思いを断念した。私より才能豊かな弟がこの雑誌を引継ぐことが正解であること。もう一つ、私は婚約を間近にしており、これを機会に会社の仕事に専念する決意をしたのだった。青春時代の終わりである。
(後略)
p98)
あとがきに代えて
兄からのメッセージ
奥成達
(前略)
1960年12月1日。兄は「新人類学」という雑誌を編集・発行する。発行所は逗子の自宅。兄の文の中で昭和33年に「第一物産」へ入社後、翌年2月に「三井物産」となったとあるので、三井物産・化学機械部・化工機二課に勤務していたころになる。
ここで兄はSF(サイエンス・フィクション)小説「仏陀の囁き」を連載し、これは未完のままで終っている。
(後略)
ーーーーー
日比谷三井ビルは1960年8月1日に竣工したそうだ。当時”東洋一(東洋最大級)”のオフィスビルといわれた新築ほやほやのビルディングで、新人類学会パーティは開催されたのか!
・三井不動産/
東京ミッドタウン日比谷の歴史 ・AERAdot./
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