やっと山をおりました。青の紫陽花が満開。子どもたちの声がしてきます。「野営場開放中」の看板。野営? お兄さんの大きい声。「お風呂に行くぞ〜」。これはまずい。この先にあるはずの「ゆうとぴあ笠森」でわたしたちも立ち寄り湯したいのにこの子たちと一緒ではゆっくりできません。なんとか先に辿り着かねば。500円払って子どもたちより一歩先にお風呂です。実は恐れていたようなことはなにもおこりませんでした。シャワーのかけっこも湯舟で水泳大会も。きちんとしたものです。
近くにあるというギャラリー「as it is」に足をのばします。看板が地味で目立ちませんが、建物自体少ないので迷いようがありません。なんと坂田和實さんのギャラリーなのですね。21回目を数えるという展示中で、雨樋受けやネルのコーヒー落とし布、米びつ、巻尺などが「あるがまま」に美しくありました。入館料の800円で、コーヒーかお茶と、ゆっくりした時間をいただけます。奥の和室は五枚の畳できっと正方形、なんということでしょう。暮したい家に住まいたくなります。大人になったらひとはみな思い通りの家を作るものだと思っていたのはなぜだろう。
9月末頃から山口信博さんの展示がはじまるそうです。思いがけない「とき」のためのぶらりだ。
ここは週末バスが通らないのだそうです。ゆうとぴあに戻ってタクシーを呼んでもらいます。花ハス栽培所に立ち寄り、駅に向かいます。この一帯は明治時代より
天然ガスが採取され、その恵みが
日立関連など複数の大手企業にも利用されていること、それを機縁とした七夕祭りのこと、数年後の高速道路開通予定など聞いて、おすすめの料理屋で下ろしてもらいます。まだ時間が早いので街をもうひとまわり。七夕祭りはたくさんの「茂原踊り」衆でさらに賑わっています。露店がきれるところまで歩こうとしたらまぁ延々続くこと。途中うまそうなトマトの山にひきよせられて「トマトくださーい」と言うとおばちゃんが「具体的に言いなさい」。聞こえなかったかと思い「トマトください」と言ったら「具体的に言いなさい!」ときた。「お、厳しーねー。5個ください」「重さ計るからこのかごにいれて。ほら選んで!」。おばちゃん、そんなぱきぱき言ってたら客逃げてゆくでしょう? ぐずぐずしてるのはだめなの! など言いながら無駄話、電車で帰るならと新聞紙で2個ずつやわらかに包んでくれ、歯は大事という話にもなり、帰って見たら倍のトマトが入っていました。ありがとう。
お腹の減りも限界、タクシーの運転手さんに教えてもらった銚子港直送鮮魚のうまい店に戻ります。うかつ、満席。いまいちど街の中心部に戻るがますます人だかりで歩けません。駅の反対側もずっと人だかり。でかいわ、この祭り。運転手さんの話によると、仙台、平塚、茂原が日本三大七夕祭りとのこと。結局ごくふつうの創作料理系居酒屋にやっと席をみつけ、ビールとつまみを少々。実は今回のぶらりは最初から、おいしいご飯に縁が薄かった。前夜セットした炊飯器がうまく稼働せず、どうやら「保温」で炊きあがったお米を無駄にして出てきたのです。捨てた飯は拾えまい。失礼申した。ぶらり肴に改めてご飯いただきます。