なにか今年は、風がいつもと違うのだろうか。泰山木の花の匂いがやけに部屋に漂ってきて、ちょっと濃くって、きついわ。そっちが強くなったのかこっちが弱くなったのか。思い当たるのは、お香でもオイルでも匂いの好みが、このところ激変していること。好きだった匂いが、ことごとく甘くていや。「天然」ひばとか「天然」ひのきがいいもの。なんだそれ。でもそうなの。私たちは本当に自然が好きか。これは塚本正司さんの本のタイトルです。言葉は紐でくくる陣地。この初夏、道すがらに伸びた凌霄花はあっという間に風だか雨だかに散ったし、ベランダで種植えした二代目の朝顔は伸び悩んだまま市を迎えようとしている。今年という年、どこにどう紐をかけるのよ。