一畑電車、という名前が良くて乗ってみたかったが今回は諦めてバスで出雲大社へ。「出雲大社」と「正門前」というバス停あり。「正門前」で降りると正門から松並木の参道を通って拝殿へ、「出雲大社」で降りると神楽殿のほうへ向かってしまうでしょう。なにしろ拝殿より神楽殿のほうがしめ縄が大きいし、知らずに行ったらこちらがホントかと思ってしまうかも。紛らわしい名前、運転手さんによってはきちんとアナウンスしてくれる。必ずや正門から行かれるがよし。参道は短いがその凹凸具合を目と足で是非。
さて出雲大社は「平成の大遷宮」と称して、本殿改修の間、大國主大神(おおくにぬしのおおかみ)を拝殿にうつす。来月20日が「仮殿遷座祭」、それから5年を予定。屋根の檜皮も葺き替えるというからずいぶん印象が変わるだろう、その前に見たかった。拝殿はすでに囲われていてしめ縄を間近に見ることはできない。ぐるりと回って八足門の前で、2回ではない、3回だったか4回だったか、周囲をうかがいながらパンパンパンパンと手を叩く。門のわきから桜門や本殿をのぞいていると祝詞をあげるひとがいる。大きな声ではないのに地に響くようにして聞こえてくる。何と言っているのかわからないが見えない水晶をなでるように動く両手と声が、きれいだと思った。神無月に神さまたちがやってきて泊る東西の十九社、その西側の前を通って奥から本殿の横顔を見る。正面からみてまん中にある太い柱をよけて右に寄った入り口から斜め下にせり出す角度を、じいと見たかった。あれを何度と言うのだろう。そのあと庁舎、1963年、菊竹清訓さんの。すぐそばに新しい御守所が建設中、それもあってのことかなあ、映えない。
表に出て出雲そばでも喰う?と思ったが足が向く店なし。静か、と言いたいところだが道が五月蝿い。車が、ではなく道路が。県立古代出雲歴史博物館へ。歩いてわずかだが出雲大社からもっとわかりやすく遊歩道を誘導できなかったものなのか。道路ばかりが、五月蝿いのよまさに。さて博物館は槇文彦さんによる2007年竣工の新しい建物、ガラスばりで眩しいやら暑いやら。流行ってんのね作るひとたちの間で。2000年に大社境内内から見つかった巨大柱、それをもとにした5人の建築史家による復元模型案と、最も高い48メートルタイプの縮尺1/10の模型がある。技術的には可能であることが実証済みというがあれだけの柱となる木がほんとにあったのだろうか、だがしゃがんで109メートルの長さがある階段の下から見上げるとなんとまあ神々しいことロマンだわ。企画展示は出雲藍板締め。5000枚の藍と紅用の版木は瀧、鯉、虎など粋な柄、染色方法の復元過程、その説明がいい。
バス停に戻り日御碕へ。海岸沿いをくねくねと。灯台が見え始めたころ、突如眼下に朱の日御碕神社。間もなく終点、下りて神社に参って海、経島にものすごい数のうみねこ、繁殖地とのこと。灯台へ。地上から灯火まで39、水面から63メートル(入場券への記載による)、高さはあるが細い。階段はしたがってくるくる度が高く、最後の数段はほとんど垂直、子供たちがかけあがっているのには驚きましたよ。風も強かったしとにかく細いなーという印象があったので足がすくんで上で一周できず。せっかく上ったのにぐるりできなかった灯台は初めてだな。下りて食堂で汗ばんだ手を洗う。板わかめご飯といかの一夜干し。このときもうまいと思ったがのちにほんとにあの店はおいしかったのだとわかる。出雲市に戻り、皆生温泉へ。